今回は血糖調節のしくみというテーマでお伝えします。
著書『なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病』から下記抜粋します。
□生命を維持するはたらき‥生体恒常性(ホメオスターシス)
私たちの体は、体の中のいろいろな条件をつねに同じ状態に保とうとしています。
たとえば、夏の暑いときは汗をかいて熱を発散し、体温が上がりすぎないようにしていますし、冬の寒いときはブルプル震えて熱を産生し、体温が下がりすぎないようにして、1年中ほぼ同じ体温を保っているのです。体温が高すぎても低すぎても人間は死んでしまいますから、生きていくためにちょうどいい温度をつねに維持しようとしているわけです。
このような体のはたらきのことを「生体恒常性(ホメオスターシス)」といいます。
体温だけでなく、血圧や心拍数、発汗量や尿量、血液中のいろいろな物質の濃度など、ありとあらゆるものごとの調節が、ホメオスターシスによっておこなわれています。ホメオスターシスのおかげで、私たちは生きていくことができるのです。つまり、ホメオスターシスとは、とても大切な「生命維持装置」なのです。そして、「健康である」ということは、「ホメオスターシスが滞りなく正常にはたらいていること」と、いいかえることができるでしょう。
私たちの体には数え切れないほど多くのホメオスターシスがはたらいていますが、中でももっとも厳重にコントロールされるべきものが、血糖値です。血糖(血液中のグルコース)は、私たちが生きていくうえでとても大切であるため、空腹時で80〜100mg/dlというとてもせまい範囲の中に保たれています。食後では30〜60分で120〜140mg/dIくらいまで上昇しますが、1〜3時 間後にはまた空腹時のレベルにもどります。
このように大切な血糖値をいつ安定した状態にしておくために、体の中では多くの臓器が関係する綿密な血糖のコントロールがおこなわれているのです。
まず、私たちが糖を含めたエネルギー源をどのように得ているか、すなわち消化・吸収をどのようにおこなっているかをみていきましょう。
□消化・吸収
私たちが食べものを食べると、口から入った食べものはかみくだかれ、胃から十二指腸、小腸をとおっていく途中で、消化液によって溶かされ、どろどろに混ぜ合わされ、細かい状態に分解ざれます。
消化された栄養素は、おもに小腸の粘膜から体内に吸収されていきます。口や胃から吸収されるものもあります。
吸収された栄養素はまず肝臓にとどけられ、そこでいろいろな加工を受けて、全身に運ばれ、体を動かすためのエネルギーになったり、体の一部を作りかえるために利用されたりします。
消化されなかった食べもののカスや食物繊維、腸内細菌などが糞便となり、毎日のお通じとなって排泄されます。
糖質・脂質・タン白質は、消化をうけると最終的にそれぞれグルコース(ブドウ糖)・脂肪酸・アミノ酸に変えられます。
また、食物中の炭水化物(糖分)にはいろいろな種類がありますが、その分類を表に示しました。おおまかに、ごはんやパンといったでんぷんなどの多糖類と、砂糖などの二糖類、グルコース(ブドウ糖)などの単糖類にわけることができます。これらの糖分は消化されると基本的にすべてグルコース(ブドウ糖)になります。血液中のグルコースの濃度のことを血糖値というのです。
□血糖値の調節
血糖値の調節には自律神経とホルモン(内分泌)、肝臓などのさまざまな臓器が関係しています。
まず、脳は自分自身のエネルギー源(=グルコース)を確保するため、血糖調節に関与しています。
◆視床下部による調節
血糖値が高いときは、すい臓からインスリンを分泌させ、血糖値を下げます。
血糖値が低いときは、副腎髄質ホルモン(アドレナリン・ノルアドレナリン)およびグルカゴンを分泌させ、血糖値を上げます。また脳下垂体を刺激して、副腎から副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を分泌させ、血糖値を上げます。
◆脳下垂体による調節
血糖値が低いときには、成長ホルモンを分泌し、血糖値を上げます。
また、視床下部からの指令を受けて副腎皮質刺激ホルモンを分泌し、副腎から副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を分泌させ、血糖値を上げます。
また、血糖値の安定に大きな役目を果たしている臓器が、肝臓です。
以上、抜粋終わり
わたしはうつ病の方の中には、
かなりの方が、
実は低血糖症ではないかと、
考えていますので、
しばらく学問的な話になりますが、
身体の仕組みを理解しておくことは大事ですし、
低血糖症を理解するうえで、
必要な知識となりますので、
しばらくお付き合いください。
ひょっとしたら、
あなたのうつ病の原因が、
わかるかもしれませんよ。